アメリカの有名コンサルティングファームであるボストンコンサルティング・グループが開発した、経営資源（リソース）を最適に配分するためのツールとして考え出されたフレームワークです。
どの事業からキャッシュを得て、どの事業に投資していくか、つまり力を入れる事業と撤退する事業を戦略的に意思決定をするために活用するものです。
このプロダクト・ポートフォリオ・マネージメントは中小企業診断士試験においても、毎年のように出題がある重要論点です。ぜひ、しっかりと知識として定着させておきましょう。
プロダクト・ポートフォリオ・マトリックスで分析
PPMでは次の2軸で各事業を分析していくことになります。
- 市場成長率
- 市場占有率
市場成長率
参入している市場が伸びているのかどうか、どれぐらい伸びているのかというのが、1つ目の軸になります。
PPMで分析する目的はリソースの最適化であるので、将来に向かっての時間軸の考慮が必要です。つまり、市場として伸びていく分野には投資をすべきですし、縮小していく分野にはどこで撤退するのかを考えておくべきで、その辺りを市場成長率を分析軸にしておくことで考慮に入れていくということです。
市場占有率
これは、参入している市場において、どれぐらいのシェアを獲得しているのかを表す指標です。
市場占有率が高いということは、その市場での強いポジションを築けており、資金流入量が多く、また累積の生産量も多いため、経験曲線効果が期待出来ている分野です。
この2軸のマトリックスのどこに、自社の各事業が位置付けられるかを整理していくツールがPPMです。
マトリックスの4象限
2軸のマトリックスなので、4つの象限に分かれることになり、それぞれには以下の名称が付けられています。
- 花形
- 金のなる木
- 問題児
- 負け犬
花形
市場成長率が高く、市場占有率も高い領域を『花形』と呼びます。
花形に属する事業では、市場的にも伸びている状態で、その中で自社の事業も成長していっているため、資金の流入は多いのですが、流出も多いことが一般的です。
そのため、花形は稼ぎ頭というわけではなく、その予備軍ということになります。
金のなる木
高い市場占有率を維持している状態で、市場の成長率が鈍化してくると、金のなる木になります。
このフェーズになると、市場でのポジションも確立してきており、ライバルに勝つための資金流出も少なくて済むようになります。そのような資金の流入は多く、流出が少なくなった時が1番儲かる時期で、そのことから『金のなる木』という名称になっています。
問題児
次の『問題児』は市場は成長フェーズに入っていますが、自社の事業はまだその中でポジションを確立出来ておらず、資金流入は少なく、流出は多い領域のことです。
このフェーズでの頑張りで、『花形→金のなる木』という形で、高収益事業に成長出来るのか、もしくは撤退の道に進んでいくのか分岐点になります。
負け犬
市場占有率が低く、成長率も低いのが『負け犬』です。
このフェーズに入ると、衰退期になっているので、撤退時期も考えていく必要があります。早期に回収出来る分を回収したら、撤退して他事業への投資に回すという戦略もありますし、競合も撤退していくので、あえてその事業に留まって残存者利益を得ていくというのもアリです。
製品ライフサイクルとPPM
PPMの4つの象限は、製品ライフサイクルの各段階にマッピングすることができます。
- 問題児：成長期の初期
- 花形：成長期の中期から後期
- 金のなる木：成熟期
- 負け犬：衰退期
この2つの概念を組み合わせた問題が試験でも出題される可能性があるので、製品ライフサイクルの各フェーズと合わせてPPMを理解しておきましょう。
過去の出題
過去の出題実績について過去問の整理が出来次第、ここに追記したいと思います。
