フリードマンが提唱したマクロ経済学の理論として『恒常所得仮説』というものがあります。

診断士の試験でも出題される可能性のある論点であるので、今回説明したいと思います。

経済学の理論の前提は考え方

マクロ経済学の勉強をしていると、色んな人の色んな理論が出てきます。
経済というものの性質上、かなり多くの変数が絡み合って起こった結果を扱うため、それらの理論の正解・不正解が状況によって違ってきます。

そのため、基本的には何かしらの前提を置いた上でそれらの理論は展開されているのですが、紙面の関係でテキストにはその部分が省略されていたりします。そのため、勉強している中で出てくる複数の理論の間で矛盾を感じる場合も出てくるかもしれませんが、それらは1つの考え方として提唱されているものだということを頭の片隅に置きながら学習を進めてください。

恒常所得と変動所得

今回のテーマの恒常所得仮説についての内容に入っていきます。

恒常所得仮説というのは、ざっくり言うと恒常的に入ってくる所得によって、家計の消費は決まるという考え方です。つまり、給料のような定期的に入ってくる金額が多ければたくさん消費するし、少なければ消費も少なくなるという感じです。

ここで言う消費というのは、平均消費性向という所得と消費の割合というのが考え方のベースにあり、もう少し詳しく言うと、所得の内どれぐらいを消費に回して、どれぐらいを貯蓄に回すかという割合が、恒常所得によって決まる考え方です。

恒常所得の対になる概念として変動所得というのがあります。これは、宝くじが当たったとか金一封が出たなど恒常的に入ってくるようなものではない所得のことです。つまり、一時的な所得のことですね。

恒常所得が増えれば消費が増える

今回のテーマである恒常所得仮説の考え方で言うと、定期安定的に入ってくる所得の金額が大きくなれば、その分平均的な消費の額は大きくなります。

一律給付金が出た時のニュースを見ていても、消費に回さずに貯蓄しておくという人が多かったことからも、感覚的にその傾向はあるような気がしますよね。一時的な所得の増加というのは、水モノで今後も続くことでは無いから、変に消費を増やさずに何かあった時のために置いておこうと考える人が多いということです。

今回の恒常所得仮説と合わせて理解しておきたい概念にライフサイクル仮説というのがあるので、次の記事ではそれについて解説したいと思います。

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